荒唐無稽でも
SFといえば洗練された機械群。
サスペンスといえばサイコパス。
ホラーといえば血が飛び散る。
そういう括りに収まらない映画が観たい。
けれど、なかなかない。
「透明人間」「電送人間」「ガス人間第1号」「美女と液体人間」「マタンゴ」
どれも荒唐無稽。
1級の男優・女優を配し、真顔で演じさせる。
子供だましのお話を。
それでも…
登場する人物と映画の舞台が作り上げる雰囲気に飲み込まれて、ついつい観てしまう。
現実の世界で口にしたら嗤われてしまうことも、映画の中でなら問題はない。
自分もその場に遭遇しているかのような感情に駆られ引き込まれていく。
江戸川乱歩的な怪奇性が漂う世界。
(こんなこと書いていていいのかな?私の人間性が疑われたりはしないだろうか?
ただ「妖しい娯楽性」が好きなだけで。
僕は至って「正の走行性」タイプ…だと思う。)
「遊星からの物体X」は「うぇ~」なんて言いながら観てしまった。
地球のどこかに、宇宙から飛んできた生き物が眠っているかもしれない。
「ザ・フライ」は「ひぇ~」なんて言いながら震えてしまった。
遺伝子に変な傷をつけるとハエになってしまうかもしれない。
荒唐無稽だけれど怖い。
怖がりの僕は、その荒唐無稽さに救われながらSFサスペンス・ホラーを好むのだろう。