魚介(第7回) アンチョビー(パート7)

もう20年も前の話だけれど、誰にも語れないことがある。心に鍵を掛けた。こうして記していられるのも、匿名性のおかげかもしれない。こんなアプローチはずるいといわれるかもしれないけれど、少しずつでも私の心を自由にしてやりたい。
あの人と出会ったのは私が27歳のとき。3年つきあって、結婚の約束までして、さよならした。よくある話と言ってしまえばそれまでだけど、当事者にとってはとても大きな事件。自分の人生でまったくどうしようもなかったことのひとつ。相手を傷つけ、自分も傷つけ、彼女に許しを乞おうにもその術を知らない。時折、彼女の記憶が頭を過ぎるが、私にはどうにもできない。悪かったのは私だと、つぶやくしかない。つぶやいてもその声は彼女には届かない。
あんなに愛したけれど、否、あんなに愛したからこそ別れは凄まじかった。感情のほとばしるままに彼女は私を責めるが、私には返す言葉がなかった。どんな場面でも、どんな約束も、最初に申し出たのは私だったから。

Preserved anchovies have an infinite number of uses in Italian cuisine,/ one of the best know being *bagna caoda, a speciality from Piedmont./ This famous sauce, used as a hot dip for crudites,/ is made from just anchovies, garlic and oil./ Anchovies are also used in the classic salsa verde, or green sauce, for **bollito mist, as well as many other sauces,/ and of course are familiar to all the world on pizzas./ *bagna caoda: オリーブオイル、アンチョビ、ニンニクから作る温かいソース **bollito mist: 北イタリアの鍋料理。肉の煮込み。
(イタリア料理ではプリザーブのアンチョビーを使うレシピは無限ですが、その中でもピエモントの名物であるバーニャ・カウダはよく知られています。バーニャ・カウダは、アンチョビー、ニンニク、エクストラバージン・オリーブオイルから作る温かいソースで、生野菜につけていただきます。アンチョビーはまた、ボリット・ミストをいただくときに使うソースのひとつ、サルサ・ベルデ(緑色のソース)の材料にもなります。さらに、誰もが知るとおり、アンチョビーはピザの具材にもなります。)
caodaのoの上には、アクサン・シィルコンフレックス(^)がつきます。また、cruditesのeの上にはアクサン・テギュ(')がつきます。