涼しかった。
いや、ほとんど寒かった。
外の空気を入れようと窓を開けることもなかったし、
扇風機を回すこともなかったし、
蚊取り線香に火をつけることもなかった。
熱いコーヒーを飲みたいと思い、
長袖のシャツを着たいと思い、
ストーブに火を入れたいと思った。
大きな台風が往けば、また暑くなるだろうけど、
それも一時で、
夕焼けの色がしっとりとする季節がやってくる。
...霧立ち上る秋の夕暮れ...
暑いなぁ。
額に汗がにじむなぁ。
何となくボンヤリ。
こんな日はそうめんで軽く済ませるのがいいのかな。
それとも、さらに汗が出るようなものを食べるのがいいかな。
何を作るにせよ、結局は煮炊きをして汗をかくんだ。
豆腐があった。
豆板醤、テンメン醤。トウチ醤あり。
ひき肉OK。
中華鍋に油を熱してひき肉。
いい焦げ色がついてきたら、にんにく、たまねぎを入れ、さっと炒めて。
お次は、醤の類。
しっかりと油になじんだら、庭で採れた辛口の唐辛子を投入。
じっくりと熱を入れて、辛みを出して、と。
塩、コショー、オイスターソース、醤油、中華味の素。
一混ぜしたら鶏ガラスープ。
煮立ったら、湯通ししておいた角切り豆腐を。
クラクラっと煮たら、火を弱めて水溶き片栗粉。
再び火を強めフツフツと煮て、落ち着いたらラー油、粉山椒。
一混ぜしたら、火から外して。
辛いよ、これ。
きっと辛いと思う。
豆腐を食べてみる。
ううっ。
唐辛子をかじってみる。
ああっ。
ヒリヒリ、ピリピリ、汗がダクダク。
額をフキフキ。
ああ、くるなぁ。
お手軽にできてしまうので、ついついテーブルの上に。
昔のオムライスは、ペラペラの卵焼きに巻いて、ケチャップをかけて。
ステンレスの長細のプレートに載せて、パセリを添えて。
国旗が貼りつけられた楊枝が突き刺されていて。
もちろん大人を意識したオムライスもあった。
ドミグラスソースをトロリと掛けて。
何かが隠されていて、その隠れているものを見つけ出すことに魅力を感じる。
それはちょっとしたドキドキ。
卵のカバーの向こうの、パラパラとしたケチャップライスに辿り着くために、スプーンを入れる。
さて、昭和から存在する「食堂」の入り口に、埃をかぶり日焼けしたオムライスのサンプルを見かける。
その周囲には、これまた埃をかぶり日焼けしたラーメンとカツドンのサンプル。
値段だけは訂正されている、手書きで。
なんとも物悲しい。
カレーのソースを作るのは、楽しい。
何を使ってフォンを作るか、スパイス&ハーブはどれを使うか、調味料は何を選ぶか。
ホーローの鍋を前にして、暫し目を閉じてみる。
ソース4人前をイメージして、と。
大玉タマネギを2個、粗く切って鍋の中へ。
バターを20グラムほど、そしてサラダオイルを少々加えて。
蓋をしたら、火は弱めの中火。
タマネギを蒸し煮して、とろけさせて。
頃合いをみて蓋を取り、ひたすら炒める。
飴色の塊になるまで。
粗みじんのセロリを加えて炒め、しんなりとさせて。
にんじんを加えて、少し炒めて。
ここでカレー粉。
大さじ3は入れたいよね。
僕はS&Bの赤缶。
香りがグッと迫ってきたら、強力粉を大さじ山盛り2杯。
油分が足りなければ加えて。
しっかりと炒めて。
調味料は、ウスターソース、醤油、コンソメ。
ウスター2、醤油1の割合。
コンソメはそこそこ。
しっかりと練れば、ルーの出来上がり。
鶏ガラスープを少しずつ加えて、延ばして。
スプーンの裏にうっすらと液が残る程度の濃度にしたら、後は弱火でクツクツ。
とろみがつき始めたら、ガラムマサラ。
そして、今日の気分で、シナモンをパラッ。
白コショーとナツメグもいいなぁ。
チリペッパーとパプリカ、ガーリックもいっちゃうか。
好みの濃度の2歩ほど手前でしょうが汁。
熱を入れながら一混ぜ。
火から下ろして冷ます。
冷めたら蓋をして冷蔵庫の中に。
1日は休ませたいなぁ。
「ええ?今日は食べられないの?」
そうなんです、今日は食べられないのです。
[寝かせたカレー」は旨い。
寝かせたシチューも旨い。
ソーセージを載せたり、カツを載せたり、ハンバーグを載せたり。
ああ、夢は膨らむなぁ。
でも、今回はプレーンで。
何もないは寂しいから、目玉焼きぐらい載せてやるか。
炒めたひき肉を加えて、ボロニェーゼ風に。
(ただ、今回はひき肉なし。)
チーズをたっぷり振りかけて食べてみる。
ああ、おいしい。
ひたすらおいしい。
「あなたの時代が終わったわけでなく
あなたが僕たちと歩こうとしないだけ」
と、小田さんが歌っていたのは30代の頃だと思うけど。
還暦を迎えた小田さんは、自分が書いたこの詩を、どんな思いで読み返すだろうか。
自分の30代。
「もう、あのおっさん、動かないなぁ。
パッパと決めて、テキパキとやってよぉ!」
なんて思ってたけど。
歳を取って、今、あの頃を振りかえると、僕はかなり嫌な奴だった。
しなくてもよいことをしていたような気がする。
何十年も経ってから、心を痛めている。
僕は、まだいい。
苦い思いをしながらも、反省できる余地を残しているのだから。
でも、嫌な思いをさせた人たちの心は、どうしたって癒すことができない。
過去には戻れないし、やり直すことはできない。
人は憂えて優しくなる、と考える人がいるらしい。
それは、僕にとってせめてもの慰め。
なぜあんなことを言ってしまったのだろう、やってしまったのだろうと振り返り、悩み、そこから思いやる気持ちが芽生える。
ナイーブなのは、いかんなぁ。
人と触れあって、擦れあっていれば、いいことばかりじゃない。
「ああ、またやっちゃった。
学習能力がないなぁ」
と、ガックリとしながらも、進むしかないんだろうな。
何を食べようか?
チルドを覗いてみる。
ああ、牛の切り落としを買っておいたんだ、脂身の多いところを。
牛丼でいこう。
牛300gにタマネギ中1個。
2ミリ幅で、縦にスライス。
鍋を用意して。
タマネギと牛肉を交互に積み重ねて。
水50cc、酒50cc、塩少々、砂糖小さじ2を入れて。
蓋をして、弱火で蒸し煮。
(使い残したこんにゃくも入れちゃえ。)
ゆっくり熱を入れて、タマネギの水分をしっかり脱水させて。
そんでもって、脂と水分を乳化させて。
頃合いを見計らって、醤油を注して、しばらくグツグツ。
味を確かめる。
いい香り。
自家製牛丼も、結構、いける。
…「バブルヘGO! タイムマシンはドラム式」
いやぁ、楽しく観ちゃった。
ホイチョイプロダクションのお家芸ともいえるバブル映画。
脚本は君塚良一。
阿部寛は「結婚しない男」の頃から、いいなぁ、と思っていて。
薬師丸ひろ子は、年齢を感じさせないし。
僕の就職は88年。
バブルも終わりの頃だったんだね。
当時の再現を、今、見せられると、とても恥ずかしくなってくる。
札束を振り回すようなことはなかったけれど、でも、あの服装、あの髪形、見覚えがある。
テクノカット、やったなぁ。
小さなカバンにものを詰めて歩いたなぁ。
ショットバーに通って、酔ってたなぁ。
まったく、なんてことを。
恥ずかしい。
時間が経てば、花がぽろぽろと落ちる。
色も変わって...。
だから、買ったら早く下処理すればいいのだけれど。
消化の目処も立たぬままやってもなぁ。
ぬめりが出てくるし...。
...なんてことを考えている間に、茹でてしまおう。
少し多めに口にすればいいのだから。
さて、茹でたブロッコリー、少しパスタに使って。
ブロッコリーって、ミルキーでクリーミーなものに絡めるとおいしいと思う。
グラタンのような、ホワイトソースもいいよね。
...「図書館戦争」を観てきた。
いや、素直に面白いと思った。
話が横道にそれることが少なく、テンポよかったんじゃないかな。
戦闘シーンが長くて退屈、とするコメントも読んだ。
まぁ、「戦争」をテーマに据えてるから、そこは良しとして。
でも、戦闘に使うものがマシンガンだけって、どうなんだろ。
途中で催涙ガスのようなものがでてきたけど。
他の武器は使えないのかな、良化委員会と図書館側の取り決めで。
これはもう、有川浩さんに訊いてみないと。
チョコレートのように見えるソース。
ビーフシチューのソースを、漉して煮詰めたら、こんな感じ。
...あれから、もう、5-6年になるかな。
京都の製菓学校の通信部に在籍して。
夏と冬は、市内のマンスリー・マンション(と言う名のワンルーム)に寝泊まり。
時間があれば近所をウロウロして。
で、大丸の裏手で見つけたカフェ。
オーナーと思われる、素敵な中年女性がレジに立っていたカフェ。
今でもあるかどうかは、分からないけど。
あのころ、オムライスにハマってて、いろんな店のを食べ歩いてた。
「オムライスに1,800円かよぉ...」なんて思いながら食べたのもあったっけ。
そして、京都のこの店のオムライス。
かなりよかったなぁ。
ケチャップライスではなく、バターで炒めた米をコンソメで炊いたご飯。
ピラフだね、あれは。
それが、卵とドミグラとよく合っていて。
近所にあれば、ちょいと行ってみたい気もするが...。
...「あさが来た」という朝ドラが始まった。
いやぁ、第一週の掴みとしては上出来。
幕末~明治という時代設定は、僕好み。
なにより、楽しいのがいい。
「心にもないことを、あるかのように言えるのは、女の強み」と、
それを子供に言って聞かせるんだから。
そして僕は、「ああ、そうなんだ」と。
続きが楽しみ。
西友で、お安い赤身のステーキ用の肉を見つけた。
レアで、バター&塩・コショーもいいよなぁ。
トロリとしたソースに絡めて食べてもいいよな。
...どうしよう。
悩んだ挙句、ビフカツで。
パルミジャーノとレモンで、さっぱりおいしくいただいてもいいけど。
今日は、タルタルソースで。
たまねぎ、キュウリのピクルス、茹で卵、マヨネーズ。
粗挽きのコショーで、香りを加えて。
バンズに挟んで食べてもいいけど。
ご飯で食べても、いいんだよな、これが。
...今朝、窓を開けると、金木犀の香りが。
前回より、強く香る。
緑の葉の間をよく見ると、オレンジ色の花があちらこちらに。
ただ、金木犀の匂いは飽きる。
刹那の香りは素敵なのに。
何時間もこの芳しさに包まれていると、gimme a break!
掃除も大変だしなぁ。
まぁ、季節のものだと思って、暫くの間は...。
ホットドッグが食べたいな♪♪、と思っても、ふさわしいパンが見当たらない。
スーパーに出かけてみても、バターロールみたいなものはあるのだけれど...。
小中学校のころは、あれほどお世話になったのに、給食で。
仕方がない、自分で作るか。
バターたっぷりで、フワフワよ。
ソーセージは、やはり、このくらいの太さがないとね。
温めて齧ると、プチュッと肉汁が飛ぶソーセージ!
パンを二つに割り、バターを塗って、少し温めて。
薄焼き卵を間に入れて、炒めた細切りキャベツを敷き詰めて。
お湯の中で温めたソーセージを載せて。
後は、ケチャップ、マヨネーズ、粒マスタード。
クリームチーズも少し。
ああ、待てない。
ミートソースもいいけれど、ケチャップも捨て難い。
コッペパンのコッペが気になって、手元の辞書を開いてみる。
「フランス語のクペ(切った)、ドイツ語のコップフ(頭)が語源か?」
「?」が気になる。
語源ははっきりとしていないのね。
ドイツ語の「頭」はいかがなものか。
形からすると、コッペパンはバゲットに似ているよな。
もちろん、製法は違うし、クープも入っていないし。
ひょっとすると、昔は、カミソリで斜めに傷をつけていたのかも?
まぁ、いいか。
少なくとも、コッペさんが作り始めたものではないことがわかったから。
「日が短くなったなぁ」と、ふと思った。
吹く風も冷たく感じられて。
虫が鳴き始める時間も早くなり、その音量も大きくなってきてるような。
朝、扉を開ければ、早咲きの金木犀の匂いがふわりと漂い。
辺りを照らす陽の光も、柔らかくなってきている。
季節の変わり目とは、こんなに突然、訪れるものなのか。
「夏は冬にあこがれて
冬は夏に帰りたい
あの頃のこと、今では
素敵に見える」
そろそろ、タルトの季節かな。
この前、フランも習ったし。
パイは、もう少し先だな。