正食生活術を読んで(3)

欲求、欲望は、きりがない。
もっともっと、と求めてしまう。


なまじ手に入っちゃうと、際限がなくなる。
常に手に入れていないと、不安に駆られる。
そのうち、無理をしてでも手に入れようとするようになるかもしれない。
そして、それとは引き換えに、身体的・精神的状態は疲弊していく。


過剰な欲望で身を滅ぼすのだ。
過度の欲望が身を滅ぼすのだ。
何事にも中庸が大切。

注意しないとね。


...シンプルライフ、断捨離、ダイエット。現代人は、今、自分が抱えているものを少しでも減らして、心身の平穏を取り戻そうとしているかのようです。もちろん、実行しているかどうかは別問題ですが。それでも、自分の欲望が生み出した結果に対して責任を持たず、平気で生活しているよりはましです。よい方向に進みたいという気持ちがあるのなら、そうすべきです。しかし、悲しいかな、継続できる方法が見つからず、中途で挫折してしまうのが大半ではないでしょうか。


「一害を除く」というエッセイの中に「何を摂ればよいかということでなく、まずはなにを摂らないようにするかが重要なのである」という一文があります。これは、方法論として大いに参考になります。結局のところ、「捨てる」ことを考える状況に追い込まれないように、最初から不必要なものを手に入れないように心がければよいのです。そのためには、もちろん、本能と理性を闘わせる必要があり、楽なことではありません。しかし、その取り組みが、良識ある大人になるための第1歩であるとすれば、ぜひとも挑戦し、理性優位にさせたいものです。


捨てたからといって、すべてをなくすわけではありません。そこには、良質のモノやコトだけが残ります。それは、岡田氏が本著の中で繰り返し示唆されておられることです。捨てて、人としての本来の姿を取り戻すのです。


日本は物質的には豊かです。手に入らないものはないと言っても過言ではありません。捨てて、ちょうどいいのかもしれません。きっと、身も心も軽くなるでしょう。(了)