メー子

黒羊のメー子と遊んでいると思っていたら、いつの間にか寝ていた。
「羊が一匹、羊が二匹、メー子ちゃ〜ん」

夢の中で、メー子と一緒に草原でも駆け回っているのか?

では、第30回です。

1.芽胞(細菌の構造物の1種)は、物理的・化学的処理に対して、極めて高い抵抗性を示す。
2.微生物が発育・増殖するのに必要なもの―温度、栄養、水分(自由水)
※日光は必ずしも必要ではない。
※酸素は菌に依存する。
3.最適条件下での世代時間(分裂速度)
a. 腸炎ビブリオ―10分間
b. 病原性大腸菌、サルモネラ菌―20分間
c. 黄色ブドウ球菌―30分間
d. ボツリヌス菌―30〜40分間
4.a. 桿菌は芽胞を形成する:ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、セレウス菌
b. 球菌は芽胞を形成しない:黄色ブドウ球菌
5.微生物の増殖
a. 微生物を大きさにより分類すると、小さいほうから順に、ウイルス<リケッチア<細菌<真菌類<原虫に分類される。
b. 嫌気性菌は、その増殖に酸素を必要とせず、また、酸素があると死滅する。
c. 腸炎ビブリオは好塩菌で、3%の食塩存在下でよく増殖する。
d. 微生物は冷蔵保存中でも死滅しないことが多く、解凍後、条件が好転すると速やかに増殖する。
6.食品中の微生物
a. ウイルスは他の生物の生きた細胞内でなければ増殖できない。
b. 細菌の増殖に最も適した温度(最適増殖温度)は菌種によって異なる。
※一般に低温菌(最適増殖温度;12〜18℃、0℃で増殖可能)、中温菌(最適増殖温度;30〜38℃)、高温菌(最適増殖温度;55〜65℃、一部の菌は95℃でも生育可能)の3群に大別される。
c. 細菌は形態によって、球菌、桿菌および螺旋菌に分類される。
d. プリオンは、核酸をもたない、感染性たんぱく因子で、正常プリオンの異常化が進行すると、種々のプリオン病を発症する。
プリオン=(proteinaceous infectious particle)
7.増殖温度
a. エルシニア:1℃〜44℃で発育可能。至適増殖温度28℃付近。4℃でも良好に発育する低温菌。
b. ボツリヌス:45℃前後で発芽増殖する。
c. 黄色ブドウ球菌:増殖温度5℃〜47℃。至適温度は摂氏30〜37℃。エンテロトキシンの産生温度は、一般に20℃から約45℃と言われているが、10℃でも産生する。
d. サルモネラ属菌:
・ 腸内細菌科の細菌で、大腸菌の生態に似ているので、大腸菌が存在している場合はサルモネラも存在している可能性がある。
  ・ 増殖温度:5℃〜45℃の範囲で増殖し、37℃が最適温度である。
  ・ 死滅条件:60℃で20分間加熱。5.4以下(酢酸の場合)
e. 腸炎ビブリオ
  ・ 海洋性細菌の一つで、沿岸や河口水に多い。
  ・ 増殖温度:最適温度は30〜37℃。10℃以下では増殖できない。
  ・ 死滅条件:60℃10分間の加熱で死滅する。
f. 腸管出血性大腸菌(O-157、H7)
・ 病原性大腸菌には5種類あり、そのうちの1種類が腸管出血性大腸菌で、その特徴は、
  ・ソルビトール発酵性がある
  ・増殖温度:7℃〜45.6℃
  ・死滅条件:75℃1分間以上加熱
  ・増殖抑制条件:pH 4.3以下、Aw 0.95以下
  ・対NaCl:6〜8%でも増殖可能
※酸素要求性の分類
  1)好気性:酸素が絶対に必要
   2)微好気性:酸素が絶対に必要だが、15%程度で良い。カンピロバクターなど
   3)通性嫌気性:酸素が存在してもしなくても可能。腸炎ビブリオ、大腸菌、エルシニアなど
   4)耐気性嫌気性:酸素を必要としないが、酸素があっても死滅しない。乳酸菌など
   5)偏性嫌気性:酸素があると死滅する。クロストリジウム属菌、ボツリヌス菌など
8.a. 低温殺菌法(LTLT):63℃で30分間加熱殺菌する方法(実際の設定温度は65℃から68℃に設定されている場合が多い)。
b. 高温短時間殺菌法(HTST):摂氏72度から78度で15秒間程度殺菌する方法。
※LTLT法及びHTST法による牛乳は、パスチャライズド牛乳(パス乳)と称されることがある。
c. 超高温瞬間殺菌法(UHT):摂氏120度から135度で1秒間から3秒間殺菌する方法。耐熱性の菌もほとんど死滅する。
※ただし、通常の充填方法では、充填後の細菌繁殖を完全に防ぐことは出来ないため、未開封状態での賞味期限は冷蔵で10日間程度とされていることが多い。
d. 間欠滅菌法:芽胞に特化した滅菌方法:間欠滅菌法は、材料を一旦煮沸したあと一晩室温で放置し、再び煮沸する作業を3回繰り返すもので、室温で放置している間に芽胞が発芽して栄養型になることを利用した、手間のかかる方法である。
※消毒:
「病原性微生物を死滅、または除去させて感染の危険をなくすこと」
  例) ・煮沸消毒
     ・各種薬物消毒 ほか
※滅菌:
「病原体・非病原体を問わずすべての微生物を死滅、または除去すること」
  例) ・高圧蒸気滅菌
     ・酸化エチレンガス滅菌
     ・乾熱滅菌       ほか
※殺菌:
「菌の生活力を奪うことをいうが、広い意味で使われ、芽胞、カビなど多くの種類の微生物を不活化することをいう」
薬事法の対象になる消毒薬などの「医薬品」や薬用石けんなどの「医薬部外品」で使うことができる表現。洗剤や漂白剤などの「雑貨品」の表示には、この表現は使えない。
※除菌:
「増殖可能な菌を対象物から有効数減少させること」
洗剤や漂白剤など「雑貨品」の表示にも使える言葉。
※抗菌:
菌を殺したり減少させたりするのではなく、「菌の増殖を抑制、あるいは阻害すること」
9.a. カンピロバクター―微好気性菌―鶏肉
b. エルシニア―通性嫌気性菌―豚肉
c. サルモネラ属菌―通性嫌気性菌―鶏卵
d. 病原大腸菌―通性嫌気性菌―畜産品
10. サルモネラ属菌食中毒
a. 人を含む哺乳類から鳥類・爬虫類まで、広い範囲の動物が保菌する。
b. 鶏卵・未殺菌卵液は、70℃1分以上の過熱が調理の基準として定められている。
c. 予防には、充分な加熱のほか、ネズミ、ハエ、ゴキブリなどの駆除が重要である。
d. 主な症状は、腹痛、嘔吐、下痢、頭痛で、高熱を伴うことが多き。