kerosene

30年以上も前になるのかな。

大学生の頃、冬の山小屋で居候をしていて。

一度だけ、外国人と居候生活。

 

彼らは20代の兄弟で。

身振り手振りを交えながら話をした。

 

ある日、灯油の補充で一緒に作業することに。

「何をするのか」と尋ねられて。

説明を試みようとしたが「灯油」に該当する英単語を知らないことに気付いた。

 

「ガソリンじゃないし、ペトロリアムでもないし」

困った僕は、反射式の灯油のストーブを指さして。

彼らも勘がいいよね。

"Kerosene..."

 

「ああ、灯油って『ケロシーン』て言うのか」

まぁ、後は、二人を作業場に連れて行って。

ケロシーン絡みの仕事をして...。

 

この時期、ストーブのカートリッジに灯油を入れていると、ふとあの日のことを思いだす。

些細なことだけど。

「灯油という、自分の生活にこんなに密着している言葉なのに。

英語で言えなかったなぁ」というインパクト。

ケロシーン。

忘れられない英単語。