肉体は衰えの途を辿っても、心は成長を続ける。
10代で輝いていたものが、40代で色褪せて見えることがある。
20代で遠ざけていたものが、50代で愛おしくなることがある。
今、この瞬間に大好きな人を、自分を取り巻く環境を理由に諦めるの?
それとも、自分の想いに素直に従って、その人に手を差し伸べようか?
悔いのない一生を過ごすためには、どちらが大切なの?
私が誰かを愛したとして、それはいけないこと?
「愛する」というのは、素敵なことのはず。
この愛から目を逸らすことはできない。
もちろん「残された人たち」は傷つく。
配偶者は憤慨し、親は困惑し、子は狼狽するだろう。
「私たちのことはどうなるんだ!」
「今の生活をどうするんだ!」
でも、このままではいられない「自分」がいる。
抑えられない自分がいる。
私は私の人生を生きたい。
あの日の誓いは絶対に破ってはいけないの?
安易な心変わりではない。
でも、周囲が見えなくなるほどに衝き動かされている。
「君の声がかすれて 『…元気でいてね…』
頷いて歩きだせば 夏は夕暮れ
言葉も優しさも足りないまま背を向ける
傷跡残さずに、別れられるわけもない
二つの人生が重なり合って
でもここからは別々の夏 思い出は思い出として」
『夏の別れ』(小田和正)