ロランは、大きな音が嫌いだ。
雷、花火...。
「ゴロン」「ドドン」と音がする。
家の中に飛び込み、踵を返す。
目を丸くして、耳を後ろ向きにして、外を窺う。
弱虫というより、神経質。
図体は大きいのに、繊細。
まぁ、扱いが難しい。
驚きと興奮から覚めると、クタッとするらしい。
椅子の上に飛び乗り、毛づくろいして。
気分を落ち着け、眠りに落ちる。
花火の音も、雷の音も、家を揺るがすぐらいになると、確かに不快。
ネコでなくたって、嫌なもの。
でも、いい歳してさ、ロランよ、あの驚き方はないんじゃない?
普段、クールに振る舞っている動物の狼狽する姿。
「何を慌てているのさ」と声を掛けてしまう。
「大したことはないよ」となだめてしまう。