四ツ柳さん

懐かしい話を書いていたら、四ツ柳さんのことを思い出した。


大学時代、本当に、いろいろお世話になった先輩。
仕送りを切らして、下宿で腹を空かせてゴロゴロしていると、
「米ならあるで」
と、麻袋に入った米と、炊飯器、のりたまを持ってきてくれた。


「よかったら、バイトもあるで」
と、日給6,000円のバイトも紹介してくれた。


富山の老舗佃煮店の一人息子なのにもかかわらず、
「自分はドラムで一本立ちしよと思うとるねん」
と、いつも僕に話していた。


3日に一回は僕の部屋の扉を叩いてくれた。
「なぁ、神戸まで行かへん?」
そう、マジカル・ミステリー・ラーメン・ツアーの始まりだ。
「卒業までに、何軒、制覇できるかな」


四ツ柳さんのビートルに乗って、171号線を神戸まで。
ユーミンをガンガン流して。


途中、「新規開拓」と称して、目につくラーメン屋を一軒ずつ訪れた。
神戸では、港で一服。
●●ゼミのあの子がかわいい、バイト先のあの子がきれいと、お約束のボーイズ・トーク。


若かったよね。
今、そんな話したら、いやらしくてキモいオヂさんになってしまう。
そもそも、僕の同年代は、ほとんどが妻帯者なんだから、そんな行為は不義密通に結びつきかねない
(おお、怖い)。
青春だから許されることってあるんだな。
閑話休題。


そんなツアーも、四ツ柳さんに彼女ができて催行不能に。
よくある話。
未来のドラマーは、彼女とめでたく結ばれ富山に戻ってしまった。


四ツ柳さん、元気ですか?
あの頃のこと、忘れてません。
受けた恩、ありがたく思っています。